2011年:モバイル/ソーシャル/ロケーションを超えて

2010/10/11 | 児玉 哲彦

初詣
去年の初めにはどうやら時空がゆがんだようで、当ブログにも10年後のアクティビティポートフォリオが混入してしまったようでしたが、幸いなことに大きなタイムパラドックスも起こらず、歴史は粛々と進展したようです。

本エントリーは年初に書いていたのですが、 @Doubles9124 君主催の新年会の話の中でいろいろと考えさせられたり、CESでのいろいろな製品発表などを追っていたこともあり、遅くなってしまいました。

2020年のメディアの世界へ向けた昨年の動きを受けて、2011年のITはどこへ向かっていくのか、その中で私達はどんな動きをしようとしているのか?端的にいうならば、これまでインターネットにアップロードされなかった、個人のリアルなコンテクストのストリームがますますアップロードされるようになり、そのデータを元にした新しいサービスが実現するでしょう。以下に、詳細を記してみます。

透明な社会へ向けた、ソーシャルメディアの広がり

2010年を通じて、世界的にソーシャルメディアの拡大は留まるところを知りませんでした。国内ではTwitterの利用が広がりましたが、グローバルで見るとFacebookのアクティブユーザーが5億5千万人まで広がり、インターネットにおけるIDとライフログのインフラとして成長したと言えます。少し前まで、GoogleがライフログDBを構築することになるかと思っていましたが、その予想は当たりませんでした。今や多くのFacebookユーザーは、ソーシャルグラフによってフィルタリングされる安心感から、よりプライベートな情報をアップロードするようになりました。

一方日本国内ではアクティブユーザー数だけで見るとmixiの1/10程度です。これはデザインなどの嗜好の違いも影響しているかとは思いますが、より大きな理由として、実名や職業を公開して不特定多数の相手とコミュニケーションすることが日本のユーザーにとって抵抗感があったことが挙げられると思います。2011年は国内でも本格的にFacebookが広がると見られていますが、それに伴いユーザーのプライバシー意識のレベルが変化するか、とても興味深いです。

ソーシャルの上に、インタレストのレイヤーが築かれる

すでにあちこちのトレンド予測で述べられていますが、ソーシャルグラフを通じたコミュニケーションは拡大・飽和に向かっており、ソーシャルグラフの上あるいは別個に、興味・関心を通じて人を結びつけるインタレストグラフの概念が重要になりつつあります。英語圏で急速な広がりを見せているQ&AサービスのQuoraはその代表格でしょう。また、Get Glue、Facebookに買収されたHot Potatoなどがインタレストグラフサービスを提供しており、2011年には人間関係だけでなく、興味関心の公開が進みます。

ただしここで留意しなければならないのは、FacebookのLikeボタンとファンページは、インタレストグラフそのものだということです。Facebookはソーシャルグラフを軸にしながら、インタレストグラフについても世界でもっとも充実したデータベースを持っています。しかも、APIを通じてユーザーの情報はかなり自由に取得できるようになっています。2011年は、このデータベースを活用したインタレストグラフサービスが多数現れてくるのではないかと思います。

モバイルで、ロケーションに留まらないリアルなコンテクストがネットにアップされる

2010年のITについて語る上で、iPhoneやAndroidスマートフォンの広がり、およびiPadによりタブレットコンピュータ市場が形成されたことを挙げないわけにはいかないでしょう。情報デバイスはますますモバイルで利用されるよになってきています。そして、モバイル化は、単にいつでもどこでもネットやソーシャルメディアにアクセスできるということに留まらず、モバイルからの情報のアップロードを促します。特に、スマートフォンはセンサーの塊であり、その利用者はあたかもモバイルセンサーとなって環境のやユーザーのコンテクスト(文脈)情報をネットにアップしていきます。

モバイルにおいて意味のあるコンテクストの一つがロケーションであり、2010年を通じてfoursquareなどのサービスが広がり、自分の現在地をチェックインによってソーシャルメディアのストリームに流すことが広く行われるようになりました。もちろんまだまだニッチなアプリケーションであることは否めませんが、今後、ロケーションに留まらない様々なコンテクスト情報をセンシングすることで、ネットに新しい情報のストリームが生まれ、そのデータを活用した新たなサービスが登場すると考えられます。いわゆるユビキタス・コンピューティングの熱は冷めましたが、実社会で具現化するためのインフラがようやく整ってきたということができます。

まとめ

2011年はオープンなソーシャルグラフ、並行して興味・関心のインタレストグラフを通じたコミュニケーション、およびモバイルデバイスを通じたリアルなコンテクストのアップロード、といったキーワードに着目しています。そして、私達が開発を進めているdomoという新サービスも、これらの要素を取り入れたものです。(近々詳細を公表できると思います。)

これら全てに共通するのは、プライバシーからパブリシーへ、というコンセプトです。情報を囲い込んで守るのではなく、能動的に発信することで発信者にとってもメリットがあり、人と人とのコミュニケーションがよりオープンで透明なものになっていく、2011年もこのような世界の実現に向けて邁進します。

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3件のコメント »

  1. 2011年:モバイル/ソーシャル/ロケーションを超えて
    Studio+i
    http://j.mp/e35U5t

    トラックバック by chiyoda8 — 2011/1/9 日曜日 @ 11:18:48

  2. 弊社の凄腕インタラクションデザイナーのブログですヘ(゚◇、゚)ノ RT @a_kodama: 年始のブログを更新しました。 Studio+i: 2011年:モバイル/ソーシャル/ロケーションを超えて http://plusi.info/archives/1266

    トラックバック by tomoya hatano — 2011/1/9 日曜日 @ 13:46:03

  3. [...] This post was mentioned on Twitter by mizuhosakakibara and Akihiko Kodama, Akihiko Kodama. Akihiko Kodama said: 遅ればせながら、年始のブログを更新しました。 Studio+i: 2011年:モバイル/ソーシャル/ロケーショ [...]

    ピンバック by Tweets that mention Studio+i : 2011年:モバイル/ソーシャル/ロケーションを超えて -- Topsy.com — 2011/1/9 日曜日 @ 16:00:03

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