SFC ORF 2008-2 イノベーションは止められない

トークセッション後のフリーディスカッション

この日本という国は、昨今イノベーションを起こす力を失っているのではないか。そして、その理由の一つとして、様々な既得権益を守るための制度や規制の存在が影響を及ぼしているのではないか。このような問題意識の下、慶應大学SFCでは、イノベーションが実現しやすい社会の実現と、そのための政策提言を目指す研究会を立ち上げる。

今回のORFでは、その提唱者である國領先生と金正勲先生、および賛同者である楽天社長の三木谷氏と、現慶應大学特別招聘教授の夏野剛氏によるトークセッション「イノベーションは止められない」を開催した。

詳細はFuture Insightというサイトにログがまとめられていたのでそちらに譲るが、とても共感できる議論だった。特に印象的だったのは、村井先生の、インターネットを普及させた経験に基づくイノベーションに関する楽観論だった。例え既存の規制の下でグレーでも、ベネフィットがあれば社会はそれを受け入れてくれる。

何より大事なことは、イノベーションを形にして、社会にベネフィットを提供していくことなのだと思う。それを続けていけば、社会一般および行政の方が後からついてくる。そんな世界になっているのだ。

慶應SFCは、今でも理想を語れる大学あり続けている。このセッションだけでなく、ORF全体を通じて、それを実感することができて嬉しかった。

SFC ORF 2008-1 客として訪れて

母校慶應SFCが毎年主催する、Open Research Forum (ORF) 2008を見に行く。客として見に行くのは初めてのことだ。学生のころは、来たお客さんによく「学生は楽しそうでうらやましい」という感想をもらったが、その立場に立ってみると同じ感想を持つ。懐かしい顔ぶれがそっているせいもあるが、それ以上にいきいきと解説をする学生たちに元気をもらう。

エクストリームとしての大学

今年のテーマは「Clash of Extremes」。去年は「Towards Extremes」で、大学の研究活動は社会におけるメインストリームから外れた、エクストリームであるべきと説く。今年はそうしたエクストリームな研究活動が、ORFという場を通じてぶつかり合うことで、さらなる創造を目指す。

大学はそのような自由な創造性の発露の場であるべきだが、自分の好みとして言えばプラクティカルなものが好きだ。だから大学を出た。ただ、大学の生み出す創造的な成果が、どのようにすれば社会へもっと還元されうるのか、という問題はある。SFCでいえばKeio Innovation & Entrepreneurship Platform 研究コンソーシアム(旧SIV)の活動などはその一環だ。

刺激的なインタラクションデザインを生み出し続ける田中浩也先生も、同様の問題意識を持っているらしく、デザインエンジニアという職能を、例えばウェブデザイナーのように新しい職能として世の中に広めている最中だと言っていた。ただ、ウェブの場合でも“デザイナーが一般化した”のではなくて“ウェブが一般化した”のであって、問題はやはりアウトプットをいかに社会の中にインプリメンテーションしていけるかにかかっている。

そのような意味で、これからSFCのような尖った研究活動をしている研究機関の目指すべき道は、一層のソーシャル・インプリメンテーション(社会への実装)だという思いを新たにした。

時間展:空間から時間へ〜新しいデザインの発想

大学時代に在席していた慶應SFCの安村研究室では、毎年成果発表の展示会を行っていました。これまでは家、電車、カフェ、おしゃれと来て、今年のテーマはこれまでの空間を離れて時間です。

時間展は11日からで、過去最大の作品数となりそうです。僕は13日(土)に行く予定です。

2008年9月11日 (木) 〜 13日 (土)
Gallery Casa Tana

ユビキタスの内田洋行

内田洋行

内田洋行は創業98年の老舗商社です。オフィス家具、教育家具、ITソリューションが主な事業ですが、最近はユビキタス・プレイス®事業を立ち上げ、それらのシナジーを生み出そうとしています。SFCとも強い結びつきを持っています。

ドイツの、製品3Dビジュアライゼーション・ソリューション企業RTTのイベントRTT Asia-Pacific Roadshow 2008が新川の内田洋行本社で開催され、見学してました。
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インタラクションするマテリアルの登場

木陰や洞窟のような自然の作り出したねぐらを離れて以来、我々はさまざまな素材を使って環境を作ってきた。日本は現存する世界でもっとも古い木造建築(法隆寺 西院伽藍)を持つ国である。また現代における建築を規定しているのは、ル・コルビュジェによる鉄筋コンクリートの建築、およびミース・ファン・デル・ローエによる鉄とガラスの建築である。では、未来の空間を規定するのはどのような素材か。一つの答えは、インタラクティブなマテリアルである。 Continue reading “インタラクションするマテリアルの登場”