空間情報はウェブ以前のインターネットのような状況

1992年ごろのインターネットには、すでに10万台を超えるホストコンピュータが接続されており、様々なファイルやドキュメント、データベースなどのコンテンツを提供していました。しかしそれらのオンライン・コンテンツの検索およびアクセスは困難でした。広くコンテンツを共有するためには、ニュースグループのメッセージなどを通じてファイルの在り処を告知する、Gopherという検索システムでファイルを検索する、といった手間のかかる作業が必要でした。

すべてを変えたのは、ご存知の通りウェブであり、ブラウザです。ハイパーリンクによる情報の構造化、およびNCSA Mosaicの優れたポイント&クリックの操作性によって、インターネットに分散した多用なコンテンツのファウンダビリティが劇的に向上しました。

話は変わって現在、位置に対応付けられた空間情報コンテンツが注目を集めています。

GPSやWi-Fiによる位置情報技術の普及によって、現在地周辺の情報の取得や、現在地に対応したコンテンツの入力が容易になりました。結果、ウェブ上においても、Google Mapsを通じたMyMapの作成、Flickrにおけるジオタグ付き写真の増加、TwitterにおけるTwittermap構文による位置情報の入力など、空間情報をメタデータとして付与されたコンテンツが増加しつつあります。

しかし、たくさんのコンテンツが提供されているにも関わらず、その活用は限られています。その理由として、オンライン・コンテンツの場合と同様、空間情報の構造に適した、ブラウザの決定版がないのではないでしょうか。

空間情報をブラウズするインタフェースは、多くの場合地図上へのマッピングか、距離順のリスト表示などとなっています。が、空間情報が利用される機器、環境、その構造に応じた、より適切なインタフェースが存在すると考えられます。それを確立できれば、ウェブのような大きな情報プラットホームを構築できるでしょう。