リニューアルしたSFCのサイトが“アマチュア”であると思う理由

SFCのウェブサイトリニューアルについてのエントリーに対して、コメント欄およびはてブで幾つかご意見をいただきました。ありがとうございます。

その後、担当の先生から丁寧なお返事をいただきました。アクセシビリティ向上のために当座および今後の対応を行っていくとのことでしたので、あまり時間をおかずに改善はされるのではないかと思います。

一方、メールの文面に舌足らずな面もあったので、当該のサイトについて“アマチュア”と書いた意図、および意思決定プロセスについて明らかにしてほしい旨お願いした理由について、もう少し説明したいと思います。

アマチュアであると思う理由

まず、公開メールにも書いた通り、ウェブサイトは文字通り大学の顔であり、コメント欄で猫さんが書かれていたように、見に来た人が解決したいゴールがあります。以前のサイトも必ずしもそれを満たすものではありませんでしたが、最低限入試案内等、必要な情報を見つけられるサイトではありました。

90年代ならいざ知らず、大学のような組織のサイトにおいては、提供するべき情報があり、それをどう整理して提供するか、という情報デザインやユーザビリティを内包した情報アーキテクチャの設計が求められます。そして、閲覧する相手は、かつてよりも多様化しています。ネットブックやスマートホン、あるいは単に古いPCのような制約のある機器で閲覧する人も多いでしょうし、視覚障害のある方が閲覧する場合もあるでしょう。

私がこのサイトの制作者がアマチュアであると考える理由は、このような情報アーキテクチャに基づく設計なしに、単にファンシーであるためだけのデザインが多く見られるためです。

まず、トップの関係図はその最たるもので、SFCの教員の顔写真がたくさん出てきても、大学の志望者や外部の企業、研究者の方には何のことだか全くわからないでしょう。また、サイトを完全にFlashで作ることで、トップはともかくとして、個々のコンテンツへのSEOは損なわれ、結果的にサーチエンジンからコンテンツを見つけることが困難となります。

しかし、それ以上に大きな問題は、

  • 視覚障害者には全く利用できない
  • iPhoneなどFlash非対応の環境では全く利用できない
  • スペックの低いPCでは閲覧することは難しい

ということです。高性能なPCを持っていない人や、視覚障害者が、このサイトを見たらどのように思うでしょうか。このサイトは、情報アーキテクチャ云々以前に、多くの人が情報にアクセスできないサイトです。

はてブでは、制作者はプロだ、という意見が多く見られますが、このサイトの制作者はFlashコンテンツの制作者としてはプロであっても、ウェブサイトの制作者としては今日の組織サイトに求められる最低限のアクセシビリティを満たしていないと考えます。これが、私がすぐにでも旧サイトのコンテンツを戻すべきだと思う理由です。

意思決定プロセスについて

僕がより深刻だと思うのは、このサイトのデザインの採用および公開にあたって、誰もツッコミを入れなかったのだろうか、ということです。僕はインタフェースを専門にしていますが、そうした知識がなくてもこのサイトのユーザビリティおよびアクセシビリティに問題があるということは明らかだと思うのですが。。

はてブでも、ウェブ制作者というより代理店や大学内の偉い人の問題ではないかという意見がありました。それは真摯に受け止める必要があると思います。当サイトで公開する関係上、このあたりについては、担当の先生から回答をいただけませんでした。

僕の意図は、犯人探しをしたいということでは全くありません。それは明記しておきます。そうではなくて、僕達自身も含め、ウェブやインタフェースやユーザビリティを研究する多くの研究者がいるSFCのサイトが、この状態で公開されるということに至ってしまった事が、SFCで活動してきた研究者として、痛恨事なのです。SFCがプロフェッショナルを養成する、およびプロフェッショナルな研究を行っているキャンパスであることをきちんと伝えるようなサイトを実現するために、できることはするつもりです。

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