2007〜8年のモバイル市場

iPod Touch今年もモバイル市場には多くの動きがあった。

国内では、イーモバイルやソフトバンクといった新規参入の携帯電話事業者の活躍、MNP(ナンバーポータビリティ)、総務省のモバイルビジネス研究会による「オープン型モバイルビジネス環境」の提言、及びそれを受けたキャリアによる端末販売奨励金の廃止と割賦販売の導入など、ビジネス上の話題は多かった。

価格等のビジネスモデルが競争の主戦場となったためか、端末の機能やサービスなど、エンドユーザーの触れる部分での提案は限られていたように思う。

海外に目を向けてみれば、AppleのiPhoneと、GoogleのAndroidプラットホームの登場が大きな話題となった。両者に共通しているのは、PC向けのプラットホーム(Mac OS X、Linux)を導入し、PC向けのサイトの利用を皮切りに、PCレベルのサービスがケータイにももたらされようとしている。

日本の携帯電話市場は、キャリアを主体としてサービスから端末までを提供する垂直統合モデルを特徴としており、iモードやおサイフケータイなどの高度な機能が速やかに普及するというメリットはあったものの、近年は市場の閉鎖性から、上述のような海外で人気のある端末が導入されない/小さなプレイヤーによる革新的なサービスが登場しにくい、といった弊害が指摘されてきた。モバイルビジネス研究会の報告書などにもそれが現れている。

そのためもあり、国内のモバルのイノベーションは、ゲーム機を中心とした無線LAN接続において進んでいる。

ゲーム機としてのニンテンドーDSの普及は留まるところを知らず、任天堂から国内で2000万台、世界で5000万台を売ったことが発表されている。DSに数では劣るものの、エンターブレインによるとPSPも国内で650万台、世界では2500万台を突破している。いずれも、学習ゲーム、ウェブブラウジング、ワンセグ放送の試聴など、これまでのゲームの枠を超えたコンテンツが人気を博している。

iPod Touchもいい例だ。筆者についていうと、軽快で美しいウェブ接続/写真やデモビデオを人に見せること/音楽再生、が一体で簡便に利用できるiPod Touchが、生活の中のメディアとの付き合い方において2003年にブログを始めた時と同じかそれ以上のインパクトをもたらした。

来年は国内でもiPhoneが発売されると予想される。これらのリッチな端末が普及することで、現状のような受け身のサービスだけでなく、PCのインターネットにおけるようなソーシャル・サービス、CGM等、ユーザが主体となって発信するサービスがより広がることが期待できる。