未来の環境デザインとは

大成建設研究所このサイトのTextのコーナーの記念すべき最初の投稿を行います。最初と言うことで、私達の取り組みにおける基本的なスタンスを表明すべきかと思います。

まず、環境ということ。ここでいう環境とは、温暖化等のいわゆる環境問題の環境ではありません。そうではなくて、家であれ、街中の道路であれ、大学のキャンパスであれ、オフィスであれ、私達が日々を過ごす場所のセットアップ全般のことです。それが天然自然のものか、人工的なものか、という区分は、ここでは大きな違いはありません。重要なのは、そうした環境を私達がどのように意味付け、どのように私達の行動に影響を及ぼすか、ということです。

長らく、そうした環境への取り組みは「建築」と呼ばれてきました。柱を立て、石を積み、屋根を造り、道路を整備し、私達は私達の住む環境を作り上げ、今日の世界ができました。

しかし、今の社会、また今の私達の暮らしに最も大きな影響を与えている現象は何か、と問われたときに、一つの答えはインターネットやケータイに代表される情報通信技術(IT)でしょう。私達は生活の中でITに大きく依存し、結果的に場の持つ意味やその中での振る舞いを大きく変えてきています。ITはまったく新たな利便性をもたらす一方で、これまでの建築や都市に対するアプローチとは異なる方法論、異なるデザインの対象が生まれてきています。従来の方法論では適切な環境のデザインができない場合が増えています。

こうした時に有効なのは、原点に立ち返ることです。建築が取り組んでいたのは、石やコンクリートを美しく配置した彫刻ではなく、 人間が行動するための場を造るということです。ル・コルビュジェやミース・ファン・デル・ローエが、コンクリートやガラスといった新たな素材を用いて建築を再定義したのとまったく同じことが、情報という新しい素材の出現に伴い求められているのです。

今まさに、世界中で多くの人達が、これまでの情報システムの開発とも、建築とも違う、新たな環境の創造に参加しつつあります。私達も、微力ながら、この課題に取り組んでいます。繰り返しになりますが、情報は素材の一つであり、建築の建材と同等に扱われるべきものです。重要なのは、そこにいかなる関係性やいかなる振る舞いから構成される場を作っていくかです。

本コーナーでは、これまでの私達の取り組み、あるいは世の中の興味深い事例を通して、未来の環境のデザインについて考えていきます。

3 thoughts on “未来の環境デザインとは”

  1. メンバーのみきっずです。
    よみました!

    人間が行動するための場を造るというのはその通りだと思うよ。
    でも、天然かそうでないかの違いはないと断言するのは賛成できないな。
    空気の流れや 心地よさ、体感が関係するからね。
    都市計画の友人と海風の話や、風の流れ、ヒートアイランドなどの話も出ます。
    クーラーでの心地よさと自然の風で涼しい心地よさをを考えます。
    どんな街の設計をし、どんな生活空間をつくっていけば
    本来 人間が持つ心地よさを提供できるか。
    住宅メーカーの中には、そういった事に着眼しているところもありますうね。
    また、都市空間における公園からのふきこぼれの涼しさなどのデータからみて、
    どの地域にどういった木々を植えればよいかなどが見えてきたりします。
    これからの時代にあった視点での環境作りを考えるべきだと思っています。
    CO2計算や熱効率の計算もしかり、モノを増やしすぎたことへを省みる潔さも大切だと考えます。

    今、おじいちゃんや10代の学生など幅広い年代でのリサーチをやってますが、
    ユニバーサルな視点も大切だと実感します。
    みんなアレコレですわ。

    ウエラブルコンピューターのNPOでユビキタスの思想と実践での
    事例を体験し、ITの可能性は無限だと実感しています。
    ITを導入、実践できるのは先進国だけだと思います。
    それだからこそ、Think Globaly,Act Localyの精神でモノつくっていきたいと思います。

    地球の裏側のことも考えたデザインを。
    CSR のCをクリエーターに変え、クリエーターの社会的責任として
    私達は、心がけていきたいですね。

  2. 「環境」を巡る話、その通りだと思いますよ?。

    この文章で僕が言いたかったのは、
    マクロの話だと誤解されると嫌だなってことで、
    空調や温度、湿度、光、音、あらゆる要素が大事だと思うし、
    しかもそれは「自然」で制御できないものじゃなくて、
    それらもうまく調和するように建築や都市も作っていこうという
    ことになってきてると思うんですね。

    SFCはIT建築とランドスケープデザインが強いんですが、
    そういう意味で同じ流れなのかなと思ってます。
    ただ、あくまでマクロじゃなくて、ミクロな利用者の
    エクスペリエンスから考えるってことだろうと。

  3. >ただ、あくまでマクロじゃなくて、ミクロな利用者の
    エクスペリエンスから考えるってことだろうと。

    大賛成!です。

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