空間生命化ワークショップ

資料表紙所属する日本建築学会 情報システム技術委員会 空間生命化デザインWGにおいて、ワークショップを開催しました。建築・都市における情報技術に取り組む多彩な研究者が集まり、会場が満員になる盛況でした。

参考リンク:Motoe Lab, TU「空間生命化デザインワークショップ

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暦本純一先生講義

SonyCSL / 東大情報学環教授の暦本純一先生の講義を聴きました。

モバイルでの拡張現実感(AR)やマルチコンピュータ・アプローチ、PlaceEngineなど、業績の数々に改めて感銘を受けました。

これからのUIを考える上で特に示唆的だったのが、マウスのようなこれまでのUIは硬くて、確実で、論理的なstoneだった。一方で、これからのUIは、柔らかくて、曖昧で、感情を伝える、skinになる、というお話。例えばiPhoneのマルチタッチなどはその好例でしょう。

横浜トリエンナーレ2008

2002年以来開催されている横浜トリエンナーレ。3年に一度、みなとみらい地域一帯が、まるごと現代美術の祭典を繰り広げます。今回のテーマはタイムクレヴァス。時の裂け目、といった意味でしょうか。その主題に沿ってなのか、過去の作品、および映像作品が非常に多いのが今回の特徴です。

その中でも、バイオレントでグロテスクなR-15作品も多い。連休で来ていた家族連れは戸惑っていたよう。

アートの一つの役割は、我々の常識を揺さぶり、世界の深淵を覗かせることです。その意味では、今回のトリエンナーレは、不穏さや落ち着かなさに見るものを誘ってくれます。ですが、今は我々の置かれた世界があちこちで裂け目を生じさせている。こんな時代には、本当はその裂け目を埋めるような表現が求められているように思います。

以下、気になった作品など。

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SFC ORF 2008-2 イノベーションは止められない

トークセッション後のフリーディスカッション

この日本という国は、昨今イノベーションを起こす力を失っているのではないか。そして、その理由の一つとして、様々な既得権益を守るための制度や規制の存在が影響を及ぼしているのではないか。このような問題意識の下、慶應大学SFCでは、イノベーションが実現しやすい社会の実現と、そのための政策提言を目指す研究会を立ち上げる。

今回のORFでは、その提唱者である國領先生と金正勲先生、および賛同者である楽天社長の三木谷氏と、現慶應大学特別招聘教授の夏野剛氏によるトークセッション「イノベーションは止められない」を開催した。

詳細はFuture Insightというサイトにログがまとめられていたのでそちらに譲るが、とても共感できる議論だった。特に印象的だったのは、村井先生の、インターネットを普及させた経験に基づくイノベーションに関する楽観論だった。例え既存の規制の下でグレーでも、ベネフィットがあれば社会はそれを受け入れてくれる。

何より大事なことは、イノベーションを形にして、社会にベネフィットを提供していくことなのだと思う。それを続けていけば、社会一般および行政の方が後からついてくる。そんな世界になっているのだ。

慶應SFCは、今でも理想を語れる大学あり続けている。このセッションだけでなく、ORF全体を通じて、それを実感することができて嬉しかった。

SFC ORF 2008-1 客として訪れて

母校慶應SFCが毎年主催する、Open Research Forum (ORF) 2008を見に行く。客として見に行くのは初めてのことだ。学生のころは、来たお客さんによく「学生は楽しそうでうらやましい」という感想をもらったが、その立場に立ってみると同じ感想を持つ。懐かしい顔ぶれがそっているせいもあるが、それ以上にいきいきと解説をする学生たちに元気をもらう。

エクストリームとしての大学

今年のテーマは「Clash of Extremes」。去年は「Towards Extremes」で、大学の研究活動は社会におけるメインストリームから外れた、エクストリームであるべきと説く。今年はそうしたエクストリームな研究活動が、ORFという場を通じてぶつかり合うことで、さらなる創造を目指す。

大学はそのような自由な創造性の発露の場であるべきだが、自分の好みとして言えばプラクティカルなものが好きだ。だから大学を出た。ただ、大学の生み出す創造的な成果が、どのようにすれば社会へもっと還元されうるのか、という問題はある。SFCでいえばKeio Innovation & Entrepreneurship Platform 研究コンソーシアム(旧SIV)の活動などはその一環だ。

刺激的なインタラクションデザインを生み出し続ける田中浩也先生も、同様の問題意識を持っているらしく、デザインエンジニアという職能を、例えばウェブデザイナーのように新しい職能として世の中に広めている最中だと言っていた。ただ、ウェブの場合でも“デザイナーが一般化した”のではなくて“ウェブが一般化した”のであって、問題はやはりアウトプットをいかに社会の中にインプリメンテーションしていけるかにかかっている。

そのような意味で、これからSFCのような尖った研究活動をしている研究機関の目指すべき道は、一層のソーシャル・インプリメンテーション(社会への実装)だという思いを新たにした。