5年前を振り返り、5年後のユビキタスを妄想する

情報家電とAndroid
5年前、近傍無線通信、大型タッチパネル、姿勢センサーを備えたスマートモバイルデバイスの登場を予想し、DataJockeyなどを作っていました。今や、iPhoneやAndroidケータイによって、そのような環境は現実のものとなりました。

しかし研究者というのは因果なもの、今度はこれからの5年間に起こる変化を考えていかなければなりません。恵太君上野君とメシを食いながら、そんな話をしていました。

モニタリングからコンテンツへ

この5年間のモバイルメディアの発展の一方で、ユビキタス・コンピューティングは必ずしも野村総研などが予想したような発展を見せていません。この差が示唆するのは、多くのユビキタス・コンピューティング研究に見られるモニタリングや環境マネジメントのようなアプリケーションは、一般ユーザには求められていないのではないかということです。(工場などにおける業務や、地域の防犯・防災などであればニーズがあるかと思います。)

モバイルの進化を牽引したのは、音楽や動画、ウェブ、ゲームなどのリッチなコンテンツでした。iPhoneがスマートフォンとしては例外的に個人ユーザに爆発的にヒットしたのも、つまるところは最強のコンテンツプレーヤだからでしょう。

であるならば、ケータイ以外のネットワーク化される情報家電においても、リッチコンテンツをより多く、スムーズに扱える製品が求められていると考えられます。

組み込みリッチ・クライアントのプラットフォーム

その場合、基盤となる技術は、リッチなクライアントを開発するためのプラットフォーム技術であり、Adobe FlashやMicrosoft Silverlightがこの分野の覇権を伺っています。が、個人的には、Androidが、この分野で最も有望に思えます。

Androidは組み込み分野に向けて最適化され、かつロイヤリティフリーです。そのため
、携帯電話に留まらず、デジタル音楽プレーヤ、ネットブック、デジタルサイネージなど、さまざまな情報家電への採用が考えられます。

いずれにせよ、これからの5年間のものづくりのイノベーションは、このような組み込み型リッチクライアントにて起こると考えています。