asnaroは、子供の成長をマイブックに記録し、親族や教育機関と共有することで、子供をみんなで見守り育てるウェブサービスである。2007年11月からβテストを開始する。
実施期間:2006/5〜継続中
βテスト開始:2007/11
公式ウェブサイト:http://www.asnaro-family.jp/
スタッフ
事業主体:eco-s corporation
提携技術開発先:ロゴスウェア
ビデオ
背景とコンセプト
子育ては、大きな喜びを与えてくれると同時に、いつの時代にも親はそれぞれの悩みや不安を抱えながら取り組んでいる。特に地域の絆が弱まり、子育てをする親が孤立しがちな現代は、子育てがしやすい時代とはいえない。
慶應SFC安村研究室では、家の研究を通じて家の中の思い出情報の記録と、それによって媒介される家族のコミュニケーションの支援を研究してきた(家展プロジェクト等を参照)。一方eco-s corporationは、シリーズ五感の家として、親子のコミュニケーションが取りやすい住まい作りを提案してきた。
両者の持つノウハウを融合し、ITを家の空間に導入することで、子育てをより楽しくやりがいのあるものにしたい、というのが本プロジェクトの目指すところだ。そのために、子供の成長を記録し、それを親/親族/教育機関/他の親の間で共有していくことで、一人の子供に対して周囲の大人が皆でコミットしてその成長を見守る、子育てコミュニティの形成を目指している。
それを実現する方法が、マイブック の作成である。開発者の一人である児玉は、ボストンの小学校に通っていた。その小学校では、絵や作文、日記などを、すべて一冊のマイブックに収めていく。そうすることで、自分も周囲も成長を実感し、また後にも散逸せずに保管することができる。asnaroは、このようなマイブック作りを、コンピュータを用いて実現する。
利用法
asnaroは、PCで利用するウェブサービスである。家族の経験を写真/手書き/シールを用いてマイブックとして記録し、希望する相手と共有することができる。写真のレイアウトが可能なため、まずは家族のアルバムとして用いることができる。
asnaroではまた。様々なテンプレートやシールを組み合わせることによって、多様なブックを作ることができる。今後予定されているテンプレートとしては、レシピ/小遣い帳/旅行記といったものが挙げられる。さらに、ブックの共有機能を用いることで、たとえば単身赴任の親や離れて暮らす祖父母とも、日々の様子を共有することができる。
同様に有望な用途として、幼稚園や保育園における親との連絡帳が挙げられる。預けている最中の子供の様子を見たいというニーズは高いが、ウェブカメラで流しているだけでは通常親も仕事中で忙しく、何より先生とのコミュニケーションがとれない。ウェブの利用は有望であるが、現状では適切なソリューションがないため詳しい先生や親に頼っている。asnaroを用いることで、適切にストックした子供の様子の写真を親だけに共有し、かつ先生がメッセージを書き込むことで親とのコミュニケーションをはかれる。親どうしの連絡にも用いることができる。
システム詳細
ペンインタフェースasnaroの利用は、家の壁面に設置するタッチスクリーン、あるいはタブレットPCを想定している。そのため、マウスやキーボードを用いずともペンのみでの操作が可能である。もちろん通常のPCでも利用可能である。
黒板
asnaroにログインすると、黒板画面を表示する。家族のコミュニケーションボードとして用いることができる。asnaroは固有のメールアドレスを持っており、写メールを送ると黒板に付せんとして貼り付けられる。
画面上部は、最近更新されたブックを表示している。再生ボタンをタップすると、蓄積された画像をスライドショー表示する。画面右端をタップすると本棚画面へ移動する。
設定画面の中で、家族の一人一人について、名前/続柄等の情報を入力する。似顔絵を書き、後述するようにブックの中でシールとして用いることができる。さらに、身長と体重を記録し、グラフ化することができる。いわば21世紀版の柱の傷である。
アドレス帳
他の家や教育機関のasnaroを、アドレス帳に登録することができる。後述するブックの共有機能は、登録した相手どうしでしか利用することができず、安全である。
シェルフ
asnaroで用いるブックは、このような本棚で管理する。ここではブックの作成とソートが行える。シェルフは、家族内みんなで利用するもの(うちの)、他の家や教育機関のブックを入れたもの(そとの)、さらに右に移動することで家族一人一人の本棚(ひとりの)を表示する。本棚は、作成した日付/お気に入りの点数(5段階)/ブックの表紙に付けたシールによって並べ替えることができる。
ブック閲覧
これがブックの表示画面である。ページの移動には、下のナビゲーションツールを使うか、ページの端をつまんでめくる。
ブック編集
まず、ブックに画像を追加するには、写真の追加ボタンをタップしてファイルを取り込む。黒板に張り付けられた写メールは、机に置くことができ、ドラッグしてブック内に持ってくることで貼り付けられる。すべての画像はフィルムロールに表示して取り込むこともできる。
書き込みツールによって、ブックに手書きを行うことができる。シールツールによって、ブックのページにシールを貼り付けることができる。シールはただの画像ではなく、ページに付けられたメタ情報として扱うことができる。現状では、表紙にシールを貼ることでブックの整理に利用できる。将来的には、ページや写真の単位で、シールによってさまざまな情報を付与できるようになる。たとえばレシピの調理手順や食材、小遣い帳の金額入力などをシールで行うことが考えられる。
使用技術
asnaroのフロントエンドはAdobe Flashを用いている。ロゴスウェアが開発したFlipper技術により、リアルなページめくりのインタフェースを実現している。
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