丸の内東京ビルTOKIAガレリアにて、2006年11月22日〜29日まで行われた未来の住宅展示。「私を記録する家」「ブログとしての家」をコンセプトに、慶應大学と三菱地所できるクラブの共同主催のもと、多くの研究室と企業とのコラボレーションによって展示が行われた。
実施場所:東京都千代田区 東京ビルTOKIAガレリア
実施期間:2006/5〜2006/11
展示:2006/11/22〜29
公式ウェブサイト:http://iloghouse.jp/
スタッフ
- 主催 慶應義塾大学SFC/三菱地所できるクラブ
- プロジェクト運営・渉外 岩井 将行
- ディレクション 児玉 哲彦
- 展示空間設計 西澤 大/環境計画研究所
- システム開発 高石 悦史/久保 美那子/千葉 力生/他
- 展示作品デザイン かわじみき(mikids design)
- 展示作品外装開発 田口 潤(帝国器材)
- 協賛 大日本印刷/株式会社イトーキ パーソナル事業部/三菱電機株式会社 デザイン研究所 中村泰久/フィグラ株式会社/パラマウントベッド INTIME/ECOSコーポレーション /三池工業株式会社/TOTO
- 参加研究プロジェクト 徳田研究室/渡邊研究室/e-careプロジェクト/安村研究室/西山研究グループ
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背景とコンセプト
慶應義塾大学SFCでは、毎年11月に研究成果発表会を行っている。2006年は丸の内で開催された。SFCの研究がインターネットだけでなく、ITが普及した未来の環境デザインにまで広がる今、研究成果を用いることでどのような生活空間が可能になるかを示すため、住宅展示を行った。
当初、数多くのグループの研究成果をまとめるコンセプトがなかなか見つからなかったが、1)家庭内のコミュニケーション支援、2)ヘルスケア、という二つの大きなゴールがあり、かつそのいずれにおいても生活を記録するというライフログの技術が基盤となっていることがわかった。そこで、生活を記録し、それを生活環境やライフスタイルにフィードバックして、よりよい生活を目指すというコンセプトが選ばれ、ログを取る家なのでiLogHouseと命名した。
展示の概要
展示会場は、ログハウスのイメージを喚起するために外装に丸太を用いた。内装は、イトーキ社のパズラインを中心に構成され、メラミン素材の光沢のある白をベースにしている。床はDNPによるプリント素材を用いた。
会場は大きく二つのゾーンから構成されている。まず、若い家族を対象として、家族内のコミュニケーションを支援する装置を提案するコミュニケーション・ゾーン。次に、主として高齢者を対象にヘルスケアのための装置や運動プログラム等を提案するヘルスケア・ゾーンである。
コミュニケーション・ゾーン
コミュニケーション・ゾーンにおいては、まず安村研究室による思い出コミュニケーションプロダクトの展示を行った。大きなガラススクリーンをタッチスクリーンとして用い、家の中の思い出の収納として用いる「asnaro」を中心に、入力装置として玄関に付けるデジカメ付き姿見「TimeAfterMirror」、出力装置としてスライドショーと静止画を手軽に切り替えられる写真立て「PushPull」、風呂でデータを閲覧する「フログ」といったプロダクトの展示を行った。
次に、徳田研究室は、家の中のものにアタッチしてDIYでユビキタス・システム化する「uPackage」、パネル型のコンピュータを組み立ててユビキタス空間を作る「uTexture」といった提案を行った。
協賛企業から、三菱電機のプロジェクター、フィグラ社の鏡やタッチスクリーン・ガラス、窓が暖房になる窓暖、TOTOのユニットバスといった製品をご提供いただいた。また思い出コミュニケーションプロジェクトはeco-s社の協賛の下に実施し、asnaroについてはeco-s社から製品化された。
ヘルスケア・ゾーン
ヘルスケア・ゾーンにおいては、看護医療学部を中心としたe-careプロジェクトの研究成果を展示した。e-careの成果の一つはユニバーサル・デザインであり、高齢者や障害者向けのキッチン用品、滑りにくい床といった製品を展示した。次に、WIDEプロジェクトとの共同作業の下に行われている、健康コミュニティ、またRFIDによる食材のアレルゲン識別システム等を展示した。これらに加えて、高齢者向けにベッドで可能な運動プログラムのビデオ展示等を行った。
協賛企業の製品として、 三菱電機の液晶TVやDVD、冷蔵庫やシンクのデザインモック、イトーキのトランクステーション、パラマウントの介護別途INTIME等を用いている。また滑らない床は三池工業との共同開発を行っている。